ファシズムはそこにある


3 だが、まだ間に合う

(1)私は、日本の国民の政治性は健全だと信じる

冒頭で取り上げたあいちトリエンナーレの中止に関して、政治的な立場にかかわりなく、幅広い批判が巻き起こっている。

市民団体や労組では、日本ペンクラブ、マスコミ労組、日本美術会、劇作家協会、出版協、出版労連、日本漫画家協会などが抗議の声明などを出している。また、多くの学者や弁護士、芸術家などの個人も強く批判をしている。

新聞も、私の知る限りだが、朝日新聞、毎日新聞、京都新聞、琉球新報、日刊ゲンダイ、佐賀新聞、新潟日報、熊本日日新聞、神戸新聞、西日本新聞が批判的な社説を掲げている。なお、これに対し産経新聞のみは中止を当然のこととする社説を掲げたが、同紙は安倍総理とネット右翼に強い親和性を持つ機関であるから驚くには足りるまい。

さらに、共産党、立憲民主党、国民民主党、社会民主党の各党首も、脅迫行為によって言論の自由が妨害されたことについて、強く批判している。

もっとも、名前を出さないツイッターやYouTubeの世界では、報道の不自由展・その後が中止になることは当然とする意見が目立っていることも否定できない事実である。言論・表現の自由を封殺しようとするこのような動きの危険性を軽視するべきではない。しかし、ネットの世界でも、名前を名乗って本件にコメントしている人々の多くは、言論の自由が脅迫行為によって封殺されたことに対して批判的である。

確かに、歴史修正主義の立場から言論・表現の自由が封殺された今回の事件は重大ではあるが、多くの国民は、これを跳ね返すことのできる健全な人々であることも見落としてはならない。


(2)市民と政党の合意を形成せよ

国家が健全な発展をしてゆくためには、言論の自由が何よりも重要なのである。批判を許されない社会はどこかで必ず失敗する。それは戦前の枢軸国家の歴史が証明している。まさに批判を許さない国家が、他国を侵略して従軍慰安婦問題を引き起こしたのだ。

残念ながら、自民党は、歴修正主義とレイシズム、貧困バッシング、セクハラなどの腐臭のする政党となってしまった。かつての自民党とは違うのである。

国家の前途を過たないためには、安倍政権を終わらせる必要がある。そのためには、市民団体が中心となって、健全な野党各党との調整を図り、小異を捨てて一致できる政策をたて、来たるべき衆院選ではすべての小選挙区に統一候補を立てて、安倍政権を少数派に追い込むことを考える必要がある。

わが国をファシズムから救うにはそれしかないのである。