国民に真実を隠す政治


NHKの聖火の映像で、沿道から「オリンピック反対」「オリンピックいらないぞ」という声が上がり、これをマイクが拾って音声が流れました。その瞬間、NHKは音声を止めて無音の状態にして映像を流し続けたのです。

もちろん、これはNHKによるもので、政府によるものではありません。しかし、我が国の政府もまた、国民から不都合な真実を隠そうとしています。

このような状況は、我が国の民主主義は危機に陥れるでしょう。




1 NHKの報道で音声が消えた

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筆者:平児

信じがたいものを観た。NHKの動画から音声が消えているのだ。高橋貞雄さんの聖火のシーンである。

NHKの聖火の映像で、沿道から「オリンピック反対」「オリンピックいらないぞ」という声が上がり、これをマイクが拾って音声が流れた。その瞬間、NHKは音声を止めて無音の状態にして映像を流し続けたのである。現場で、とっさの判断で音声を止めたのであろう。最初の「オリンピック反対」の声は放映されてしまった。

現時点でもNHKが公開しているWEBの録画(※)も、最初の音声だけが聞こえる。録画でも最初の音声が消えていないのは奇妙である。意図的に音声を止めたのではない(故障だ)と言い逃れる気かとも思ったが、そうではなかったようだ。

※ NHK「聖火ランナー 高橋貞雄さん

共同通信が報じたところによると、NHKは「地域へのゆかりなどそれぞれの思いを持って走る聖火ランナーへの配慮も含めて対応した」と説明したという。しかし、それならそれでWEBの録画では、最初の音声も消去すればよさそうなものをと思える。いかにも、ちぐはぐな対応である。

※ 共同通信2021年4月21日「聖火ランナーに配慮し音声消去

ことによると、最初は音声装置の故障だと言い逃れるために、最初の音声を消さなかったが、言い逃れられないと思って認めたのかもしれない。

いずれにせよ、意図的に音声を消したというなら、それは報道でも記録でもなく、都合の良い部分の「切り出し」でしかないと指摘しておこう。



2 JOCの経理部長が亡くなったことを隠すテレビ局

さらにKBCのニュースで驚くようなことが起きた。JOCの経理部長が亡くなられたという報道が行われている(※)中でのことだ。日本経済新聞など、少なくない報道機関が報じており、捜査当局が自殺とみているという内容のものが多かった。

※ 日本経済新聞2021年6月7日「JOC部長、電車にはねられ死亡 飛び込み自殺か」、日刊ゲンダイ2021年6月8日「JOCはショック! 経理部長自殺で囁かれる『五輪とカネ』」など

報道機関としては、報道する必要があると感じたのだろう。ただ、大手報道機関は概して小さな扱いだった。しかし、隠すようなことではないし、ニュースヴァリューはあるだろう。

ところがKBCのニュースで驚くようなことが起きた。JCB経理部長が亡くなった事件が差し替えられたのだ。アナウンサーが動揺したような表情を見せて、別なニュースに差し替えたのだ。

常識的に考えて、JOCの経理部長が亡くなって捜査当局が自殺とみているというのだから、報道するべきことだろう。外国でゾウが車に激突したという、どうでもよいような内容の報道に切り替えられたのだ。誰が考えても、奇妙な話である。



3 平気で嘘をつく自民党政府

もちろん、自民党政府が国民に嘘をつくことは、今に始まったことではない。前安倍総理の虚偽答弁の回数は、立憲民主党によれば119回に及んでいる(※)。煩悩の数より多いのだ。

※ 東京新聞「安倍前首相の「虚偽答弁」は118回 桜を見る会前夜祭巡り衆参両院で 立民が衆院調査局に調査依頼し判明」など

他にも、安倍前総理の嘘はいくらでも数え上げることができる。例えば、植村隆氏が櫻井よしこ氏を訴えた裁判の判決について「植村記者の捏造確定」と嘘を投稿している(※)。実際には、櫻井よしこ氏の方がフェイクを流していたことは判決でも認定されているのである。まったくのデマであった。

※ LITERA「安倍晋三が植村隆と櫻井よしこの裁判めぐり『植村記者の捏造確定』とデマ投稿! 裁判で捏造が明らかになったのは櫻井なのに」など

一国の総理だった人物が、こうまで見え透いた嘘をつくのであるから、あきれるばかりである。他にも、安倍総理が国民に対してついた嘘は極めて多い(※)

※ 例えば、小塚かおる「虚偽答弁139回にも怒らない・・・」など



4 都合の悪い事実を国民に隠す政権は信用できるのか

以前、中国へ出張したとき、日本のニュースを見るためにテレビで日本のチャンネルを見ていたとき、国際ニュースで突然音声が消えたことがある。現地の日本人によれば、音声を消すための担当者がいて、24時間体制でテレビの放送を監視しているのだそうである。

日本の放送を視聴して、情報を得ようとしている中国人もいるのだろう。民主主義のない国家というのは、都合の悪い事実を国民から隠そうとするようだ。都合の悪い事実を国民から隠すことは、言論の自由の基になる情報を隠すことであるから、民主主義そのものが崩壊するのである。

日本においても、政府にとって不都合な真実を覆い隠そうとする状況になってきている。自民党政府に忖度するNHKは、街頭で上がった国民の声を、なかったことにしてしまおうとしている。また、総理大臣が国民に対して平気で嘘をつくのである。

今、私たち国民に求められていることは、政府の嘘を見破り真実を知ることである。このようなことを“先進国家”日本で言わなければならないことは、悲しいことであるが。