小泉環境相の無知・無能


小泉環境相が「プラスチックの原料って石油なんですよ!意外に知られていないですけど」と発言してSNSで批判を浴びています。最近の自民党政権の閣僚には、その担当分野について知識のない人物が目立ちます。

環境大臣は、様ざまな環境に関する国際会議で、他国の専門的知識を持つ閣僚級の人物とやりあうことになります。

そのときに、海洋プラスチックの問題について、ここまで無知な人物が環境大臣に就いていることは我が国にとって大きなリスクと言えるでしょう。




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1 小泉環境相が無知ぶりが批判を浴びている

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筆者:平児

小泉環境相が「プラスチックの原料って石油なんですよ!意外に知られていないですけど」と発言してSNSで批判を浴びている。「そんなこと小学生でも知っている」「国民をバカにしているのか」など、など。

最初、フェイクかと思って調べてみた。そうしたら、実際にラジオ番組で発言していた。その後、スポーツ日本なども批判的に報じている。当然であろう。

この小泉環境相の発言について篠原氏が「小泉進次郎大臣「プラスチックの原料って石油なんです」発言が炎上→とあるアンケートでは16%が知らない」で擁護しておられるが、やや牽強付会である。

まず、氏は、16%が知らないといっているが、これはごまかしと言うべきだ(※)。実際には、知らない国民はもっと少ないだろう。

※ 氏が根拠としているアンケートの質問は「プラスチックは、主に石油や天然ガスから作られる」ことを知っているかどうかについて尋ねており、これに84%が知っていると答えている。
 しかし、天然ガスは石油ではない。これについては、Japan-in-depthの記事「石油無しでプラスチック作れる」を参照されたい。天然ガスからプラスチックが作られることを知らないことと、石油から作られることを知らないことは別なことである。
 しかも、16%の根拠を、知っていると回答した人が84%だというところから逆算している。二重の意味でごまかしなのだ。

とはいえ、平児もそれを知らない国民がいることそれ自体は否定はしない。しかし、そもそもプラスチックの問題は、その“知らない人々”が主要な問題というわけではない。プラスチック削減を語るに当たって、そこを出発点にすることは、ことの軽重を誤っているのである。

また、あまりにも論点がぼけるのだ。現に、SNSで多くの国民に批判を浴びていることが、何よりも小泉環境相のこの発言が的を射ていないことの証拠であろう。

やはり、SNSで指摘されているように、小泉氏自身が、そのことを環境大臣になってから知って意外に思ったので重要視しているか、でなければ国民を見くびっているのであろう。

さらに言えば、プラスチックの問題を議論するに当たり、そこを出発点にすること自体が間違いなのである。そこを外してはコトの本質が見えなくなる。

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2 海洋プラスチックの問題と気候変動の区別が分からない小泉大臣

小泉環境相のこの発言の最大の問題は、使い捨てプラスチックを規制する目的を、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーと言い切っているところなのである。

確かに、レジ袋のときは、石油の消費を減らしてCO2の削減を図ろうという目的もあったのは事実である。また、プラスチックの削減が、間接的にCO2の削減に寄与しないわけではない。

しかし、プラスチックを削減すべき、主な目的は海洋プラスチックの問題なのである。カーボンニュートラルというなら、プラスチックを燃やさなければ良いということになりかねない。あるいは、プラスチックを使用しても、他でCO2を削減すれば(極端なことを言えば植林すれば)それでよいということになる。

事実、小泉環境相はプラスチック削減法令についての記者会見でも、循環型社会のことにふれるだけで、海洋プラスチックのことに何一つ触れていない

しかし、海洋汚染の問題は、それではなんの解決にもならない。最終的に海洋に放棄されるプラスチックが問題なのであって、それは循環型社会を進めたからと言って、ただちに解決される問題ではないのだ。

10万トンのプラスチックのうち、100kgが最終的に海洋に放棄され、残りが燃やされている社会があるとしよう。その社会で、8万トンのプラスチックを再利用したとしても、相変わらず100kgが海洋に放棄されていれば、海洋プラスチックの問題は何も解決しない。

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3 無知な大臣は、日本国家にとってのリスクだ

自民党は、野党時代に温暖化対策に反対していた(※)が、現在も環境問題に無知な人物を環境相にしている。このことは、この政党の環境問題についての姿勢を表している。

※ 例えば、さいとう健「政府の地球温暖化対策に物申す」など。因みにさいとう氏は自民党環境部会長であった。

小泉環境相は、プラスチック削減の主要な目的は気候変動対策だと思い込んでおられるようだ。いろいろなところで、カーボンニュートラルの話はするが、海洋プラスチックの問題は(まさか知らないわけではないだろうが)ほとんど念頭にないようなのだ。

環境大臣は、様ざまな環境に関する国際会議で、他国の専門的知識を持つ閣僚級の人物とやりあうことになる。そのときに、海洋プラスチックの問題について、ここまで無知な人物が環境大臣に就いていることは我が国にとって大きなリスクと言えるだろう。