署名偽造は民主主義の否定


あいちトリエンナーレで言論を封殺しようとした人々によって行われた愛知県知事リコール署名で、大量の偽造署名が見つかっています。

侵略戦争を美化して言論を封殺して歴史を書き変えようとする連中の本質を教えてくれる事件でした。

署名は政治的な意思表示であり、それを偽造することは民主主義の否定です。呆れた行為と言えましょう。




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1 なぜリコールが行われたのか

執筆日時:

最終修正:

筆者:平児

そもそもの始まりはあいちトリエンナーレの「表現の不自由展」だった。第二次大戦中の旧日本軍による韓国女性への性搾取と天皇の戦争責任への批判をモチーフにした展示が行われたのだ。これに対して、戦時中の日本軍と天皇の戦争責任を否定する人々が表現を封殺しようと画策した。これがそもそもの始まりだったのだ。

ここは曖昧にしてはならない。最初から、言論抑圧、すなわち民主主義の否定をしようとする人々が始めたことなのだ。

あいちトリエンナーレの終了後、旧日本軍を支持する人々は、何をどう勘違いしたのか、あいちトリエンナーレの主催者である愛知県の知事のリコールのための署名運動を始めたのである。


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2 リコールの失敗とリコール推進派の犯罪が明らかに

このリコール運動は、河村たかし市長と高須克弥氏が中心となったもので、大々的な宣伝活動によって推し進められている。しかし、結果は、市民の健全さを照明した結果に終わった。主催者の高須氏が発表したところでも、署名数は、必要数の半数程度の43万5231人分にしか達しなかったのである。

さらに、津田大助氏によって驚くべきことが判明する。署名の中に同じ筆跡のものや、署名していない市民の名前が含まれていたというのである。これに対し、高須氏はツイートで「津田くんは選挙管理委員会の誰もが知らないはずの情報を知ってるんだ」と奇妙な反論をしている。誰もが知らないはずだって? 知らないはず? 「ありえない」じゃなくて「知らないはず」???

そして、12月に東海テレビは、リコール署名を進めたグループが不正の疑いを訴えたと報道した。津田氏が主張したように、同じ筆跡がかなり含まれるというのだ。さらに、署名していない市民の「署名」があることも報じられた。津田氏が正しかったことが明確になったのだ。

さらに、今年の2月1日の日本テレビの報道によると、愛知県選挙管理委員会は、提出された署名のうち、8割以上の約 36万2000以上の署名が有効と認められなかったとしたという。確かに、署名には少なくない無効なものが見つかることはままある。しかし、ここまでくると、組織的に署名の偽造が行われたと考えるべきだろう。


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3 犯罪の全貌が・・・

しかも、2月4日には、市会議員5名が、署名していないにもかかわらず自らの名前が署名簿に載っているとして告訴を行った。市議の名前まで使ったのだ。なりふり構わずというべきか。

さらには、2月15日には、偽造したという男性が CBC テレビで証言するに至った。母印がないのはまとめて押したとまで言っている。

一方、高須氏は、偽造があったことは否定できないと思われたのか、自らは署名偽造に関わっておらず、無関係だと主張する。これに先立つ12月31日には、(署名を)「何千人も見ました。僕には不正署名が見つけられませんでした」とツイートしている(※)。そう、高須氏本人が署名簿を何千人分も見たと言っている。署名簿は署名だから筆跡も見ているわけだが・・・。

※ BUZZAP 2021年2月16日記事「【コラム】「時給950円で署名偽造」大村知事リコール運動でバイト動員が発覚、経緯と詳細まとめ」による。

また、さらに1月前の11月27日のzakzakによると、高須氏は「愛知県選挙管理委員会に『署名活動中止』と『署名簿提出の辞退』を通告した」「リコールの会が仮提出した署名簿は、封印したまま僕の目の前で溶解液に入れて破棄する方針だ」と語ったとされる。そう、11月末時点で、署名簿を溶解すると言っているわけだ。

※ zakzak 2020年11月27日記事「【コラム】「時給950円で署名偽造」大村知事リコール運動でバイト動員が発覚、経緯と詳細まとめ」による。


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4 捜査は進む

また、2月21日の西日本新聞は、さらに具体的な署名偽造の現場の様子を報じている。さらに同23日には朝日新聞が、署名簿には8000人の物故者が含まれていると報じた。県関係者によると、提出された署名の約83%にあたる約36万2千筆に無効の疑いがあり、うち約90%は複数の人が何筆も書いたと疑われるなどと発表。無効の疑いとして、ほかに「選挙人名簿に登録されていない人の署名」も約48%あったと報じた。

4月17日の東京新聞は、リコール活動団体の事務局長が「リコールが成立しなければ署名用紙はただの紙切れ」などと言って周囲に不正を持ち掛けていたと報じた。組織レベルで意図的に不正が行われていたのである。

5月3日の東京新聞は、リコール活動団体の事務局長が「アルバイトによる大量の署名の書き写し作業」を自ら依頼したと認めたと報じた。逃げきれないと思ったのだろうか。


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5 最後に

繰り返すが、このリコールそのものが言論の自由を否定する側が、言論抑圧を目的として行ったものである。まさに、民主主義の否定を目的としたものなのである。

その民主主義を否定する輩は、驚くべきことに、表現そのものを偽造しようとしたのである。民主主義を否定しようとする連中が行うことはこういうことなのだ。恥知らずと言うべきか。