知覧特攻平和会館に想う


3 最後に


(1)日本政府は、けっして平和を守ろうとはしてこなかった

戦争に関して、わが国の国民の多くは大きな誤解をしている。それは、戦後75年近く、我が国は戦争行為をしたことがなかったと思っていることだ。だが、本当に日本は戦争をしてこなかったのだろうか。

戦争とは、宣戦布告をして戦闘行為を行わなければ、実施したことにはならないのだろうか? 戦争行為とはいったい何だろう。

わが国は朝鮮戦争では掃海活動を行い戦死者を出している、またベトナム戦争では米軍の兵站基地としての役割を担った、そればかりかかつて安倍政権の下では中東の戦争では外国軍隊の移動や補給活動に携わっている。

 鈴木英隆「朝鮮海域に出撃した日本特別掃海隊」など参照

はっきりしておかなければならないのは、我が国は“戦闘行為”を行ったことはないかもしれないが、“戦争行為”は行っているということだ。近代戦においては、直接の戦闘よりも補給・兵站の方が戦争行為としては重要な意味を持つのである。

そして、今、安倍政権以降、自民党・公明党政権はさらなる戦争行為への準備を強化している。憲法9条の改悪である。


(2)自民党政権は、明確に戦争行為へと向かっている

ア 戦前への回帰の策謀

安倍政権以降の自民党・公明党政権は、わが国を戦前の天皇制軍国主義国家へ回帰させようと図っている。まず、近年では自民党・公明党政権の閣僚は、ほとんどが戦前の日本を肯定する日本会議のメンバーである。

これまでも、教育勅語の復活の策動、特攻隊資料の世界記憶遺産申請、南京大虐殺の否定など、戦前の軍国主義体制の賛美は、まさにそのための策謀といってよいだろう。また、駅頭での自民党政治家に対して発言する市民の排除、あいちトリエンナーレへの補助金のカットなどに見られる露骨な言論への抑圧も進めている。

イ 再び国民を戦争へ駆り出そうとしている

また、戦争への準備行為として、集団的自衛権の容認、戦争地域への海外派兵、戦争法の策定、攻撃型空母の保有(準備)など、憲法9条に違反した戦争の準備を着々と進めてきた。

そして、今、その憲法9条そのものの改悪を図ろうとしているのである。

安倍元総理の本質は何か? それはアンチ人権主義、アンチ民主主義、アンチ平和主義である。アンチ人権主義については、杉田水脈議員のようなアンチ人権派をわざわざ他党から引き抜いて、比例名簿上位において国会議員にしたことでもよく分かろう。

アンチ民主主義、アンチ平和については本稿で論じたとおりである。


(3)再び、特攻が繰り返されないために自民党・公明党政権の打倒を

現在の自由民主党ほど自由と民主の名にふさわしくない政党はないだろう。同様に知覧特攻平和会館ほど、平和の名にふさわしくない施設もない。

彼らが望んでいるのは、国家のために国民が生命をささげるような社会なのである

 元総理の安倍氏は、2012年10月25日に、知覧での街頭演説で「今、日本の美しい海や、領土、領海は脅かされようとしているんです。今、私は特攻隊記念館、短い時間ではありますが見学させていただきました。少年たちが、青年たちが、命を懸けて守ろうとしたこの日本を私たちは守っていく、その責任があるんです」と話している。

これを聞けば分かるように、安倍氏にとっては特攻は理想なのである。そして特攻によって「守られた」国を、「守る」ことが“私たちの責任”だと明言しているのである。彼の意識の中では「守る」イコール「侵略」なのであろう。

自民党、公明党による憲法9条改悪を許してはならない。それは、日本国民が国家のために生命をささげさせられるような社会、中東で我が国の国民が罪もない女性や子供を殺害するような社会である。

次の衆議院選挙では、明確に自民党・公明党政権に“ノー”の声を示そう。